また逢う日まで、さよならは言わないで。



やはり、男の人と出かける、且、あんな容姿端麗な人とプライベートで同じ空間に


これから数時間いると思うと緊張せずにはいられなかった。


出かけるのはお昼から。


それにもかかわらず、学校に行くときよりも早めに起きてしまった。



少しでもよく見せたくていつもはしない化粧をしてみる。


不自然に思われないように薄く薄く。


セミロングの髪を少しまいてみる。


昨日しっかりトリートメントしたから、髪のコンディションは完璧だった。



「よし、大丈夫」



洗面台の鏡に映る自分にそういい聞かせる。


少しはこれでましになったはず。



【大丈夫?今日だよね】



丁度そこへホクトから、メッセージが送られてきていた。



【正直大丈夫じゃない】


【そっか。でも、來花さんからきいた立花副店長って人は優しそうだし、きっと楽しい時間になるんじゃないかな】



初めて相談に乗ってもらって以来、私は少しずつではあるが、ホクトに心を開いていた。


彼は私の欲しい言葉をくれる。それがとても心地よかった。



【そうだよね。ありがとう。楽しんでくる】



そう、ホクトに返信をおくり、バックの中へスマートフォンをしまった。


時計の短針は10と11の間をさしていた。12時に現地集合のため、もうそろそろ家を出なければならない。


私は自分に気合を入れなおし、家を出た。

 


< 8 / 98 >

この作品をシェア

pagetop