また逢う日まで、さよならは言わないで。
やはり、男の人と出かける、且、あんな容姿端麗な人とプライベートで同じ空間に
これから数時間いると思うと緊張せずにはいられなかった。
出かけるのはお昼から。
それにもかかわらず、学校に行くときよりも早めに起きてしまった。
少しでもよく見せたくていつもはしない化粧をしてみる。
不自然に思われないように薄く薄く。
セミロングの髪を少しまいてみる。
昨日しっかりトリートメントしたから、髪のコンディションは完璧だった。
「よし、大丈夫」
洗面台の鏡に映る自分にそういい聞かせる。
少しはこれでましになったはず。
【大丈夫?今日だよね】
丁度そこへホクトから、メッセージが送られてきていた。
【正直大丈夫じゃない】
【そっか。でも、來花さんからきいた立花副店長って人は優しそうだし、きっと楽しい時間になるんじゃないかな】
初めて相談に乗ってもらって以来、私は少しずつではあるが、ホクトに心を開いていた。
彼は私の欲しい言葉をくれる。それがとても心地よかった。
【そうだよね。ありがとう。楽しんでくる】
そう、ホクトに返信をおくり、バックの中へスマートフォンをしまった。
時計の短針は10と11の間をさしていた。12時に現地集合のため、もうそろそろ家を出なければならない。
私は自分に気合を入れなおし、家を出た。