誘惑じょうずな先輩。
かっこいい先輩
.
「せ、んぱいが遊んでるの、いや、……です」
……言っちゃった。
抱きしめたまま、頭を抱えたくなる。
だって先輩に、遊び人じゃなくなれって、そんなの酷すぎる。
そんなの……言ったら、嫌われるでしょ、ゆのは。
自分で自分を叱っても、さっきの言葉は取り消せない。
「いや……、あのっ、いまのは、忘れ……」
慌てて弁解しようとした、けど。
「……うん。わかった」
「…………へ?」
ウン、ワカッタ?
……え?
「ゆんちゃんが嫌なんだったら、俺も区切りつける」
「いやっ、あの、」
あれは、言いすぎた、というか。
どうしても、先輩がだれかに触れられて欲しくないって想いが強くなっちゃったから。
そう言ったとしても、もう意味がないことを知る。
「ゆんちゃんが、そんな素直なこと言うの、珍しいから」