誘惑じょうずな先輩。
しばらく口をつぐむわたしたち。
先輩はいま、なにを考えているんだろう。
その女の子のこと?
泣かれちゃったこと?
……わたしの、こと?
……わかんないや。
それに、先輩がどんどん体重を預けてくるから、重い。
それを剥がせないわたしもわたし。
先輩は、いまにも消えそうなくらい儚い雰囲気をもって話すから。
突き放せない、守ってあげたくなるの。
こんな気持ち、はじめてでどうしようもない。
「おれね、女の子が泣いてるのみたら、
おれも泣きたくなる、
だから、だれも傷つけないように自分なりに行動してきたつもり、」
苦しそうに、辛そうに言う先輩。
……知ってた。
知ってたよ、万里先輩。