誘惑じょうずな先輩。
やっぱり、胡子ちゃんはいちばんの友だち。
わたしの気持ちをだれよりも理解してくれて、尊重してくれる。
心配してくれるし、そのぶん、いけないことしたら怒ってくれるし。
そういう友だちって、大切なんだってしみじみ感じた。
「にしてもさ……、
先輩、遊びやめるって……、
ほんとうなのかね」
「え、……そんなこと言、う……?」
「あ、ちがう、そんな泣きそうな顔しないでゆん……っ!」
慌てて首をぶんぶん横に振る胡子ちゃんだけど。
……実は、それはわたしも思ってたこと。
だって、昨日の昨日まで、学園のだれもが知るプレイボーイなわけで。
そして、だれよりもモテる先輩なわけで。
そんな人が、「はい、やめます」でやめれるものなんだろうか……。
わたしは先輩がなにを思ってるのか、なにを考えているのか、大事なところはいつも知らない。