誘惑じょうずな先輩。
だから、先輩が言った言葉を信じることしかできないの。
「先輩って……、いや、ふたりとも、
びっくりすぎるくらい鈍感でビビるんですけど〜〜、」
じっくりいろいろ考えていたわたしの眉間をぐりぐり押しながら、そう言う胡子ちゃん。
ど、鈍感……って、先輩とわたしが?
「そ、そう……?」
「そうだよ!はたから見たら、超焦れったいんだから!」
「そ、そうなんだ」
「あ〜〜っ、もう!
純粋すぎるんだよ、どっちも!」
頭を抱えて唸る胡子ちゃんに、「大丈夫……?」と問いかけると、即座に頷いて回復した。
「ほんと、世話が焼けるんだから……」
……あ。
それ、その言葉、夏川くんにも言われた。
『どいつもこいつも、世話が焼ける』