誘惑じょうずな先輩。

その世界で有名。

そんなこと知らなかった。


神田くんが強くて有名なのだとしたら、仲のいい夏川くんもおなじなんだと思う。


わたし、そんな人を手当しちゃったんだ……。


この前の出来事を話すと、「いいなぁ！！」としっかり乙女な胡子ちゃんに、どこか寂しさを感じてしまった。


大事な友だちが恋をしたら、こんな感じなんだ……。


嬉しいはずなのに、どこか複雑。



そんな想いを隠すように頷くと、胡子ちゃんが神田くんを好きになった経緯を頬を緩ませながら教えてくれた。




「めったに学校来ないんだけどね、彼がたまたま学校来ていたときに、中庭で出会っちゃって」



そこからはじまった話。


……やっぱり、神田くんは素行不良、だったみたい。



そんな感じはしていたし、ケンカ慣れしていそうな雰囲気だったけど、身近にそういう人がいると思うと、なんだか不思議な気分だ。