誘惑じょうずな先輩。
いつもはわたしがお願いすることが多いから、こうやって頼ってもらえて、役に立てると思うと幸せだと思える。
「……先輩と話したいな、」
そんなことを考えていたら、
自分でも無意識に出ていた言葉。
だって、先輩、毎日のように話してたから。
あんな別れ方しちゃって、寂しいよ。
そんなわたしに、胡子ちゃんは苦笑い。
「あんたら、ほんっっとうになにしてんの?」
「……え?」
なにしてるの、って、え?
よくわからなさすぎて困惑気味に胡子ちゃんを見つめると、彼女は呆れたように言った。
「話したいなら話せばいいじゃん。
別に、生き別れた双子でも、
会うことを制限された織姫と彦星でも、
ロミオとジュリエットでもあるまいし!!」
「な、長いね、……」
「でも、先輩がけじめつけるんでしょ?
なら待っときなさい!」