誘惑じょうずな先輩。
ふう、とため息をついたわたしに、愛先生は突然にやにやし出して……。
「あれ、ゆんったら……、恋煩い?」
「へっ?!」
こ、ここコイワズライ?!
ちがうちがう、先生、盛大な勘違い!!
びっくりしてブンブン首を横に振ると、まだ不敵な笑みを隠そうとしない先生。
「先生の目は誤魔化せないわよ~〜?」
楽しそうに言う愛先生に、さっきとは別の意味でため息が出そうになる。
もう……、すぐに恋愛と繋げようとするんだから。
「そんなわけないです……、さっき会ったばかりなわけだし、」
「あら、心当たりはあるのね」
「……っ?!」
心当たり。
そう言われて思い浮かぶのは……、さきほど会った万里先輩。
あの不思議に包まれたオーラに、惹き付けられてしまったのかもしれない。