誘惑じょうずな先輩。

神田くんって、……不思議なひと。

未知の人間、そんな感じ。



「香田さんみたいなひとにはなんもしねえけどね」


「そうなんだ……」




それって、気の弱そうな人間ってことだろうか。

それとも、堅気の人間ってことだろうか。



そこは明確ではなかったけど、深く掘り下げるべきことではなかったから、こくっと頷いて終わらした。



「てかさ、」



夏川くんは、思い出したようにわたしをじーっと見つめた。


まっすぐの目には、いまだに慣れない。



「バンリ先輩とはどーなってんの？」


「え」



「どーにかはなっててほしいんだけど」


「、え、あの」




「俺、だいぶ気利かしたつもりだったんだけど……。なんもねえの？」


「夏川くん……、そんなことしてたの？！」