誘惑じょうずな先輩。
「俺、別に遊んでないけど。
遊んでいた女みんな関係切ったり、
連絡先消したり、依存して荒れ狂うやつ宥めたり、自分の精神安定剤を見つけたり。
けっこ、大変なんじゃない?」
「やっぱりそうだよね……」
「でも、バンリ先輩の精神安定剤はきっと香田さんだから、そこまで考えなくてもいいと思うけど」
「……せいしん、あんていざい」
「そ。
先輩にとって、香田さんは癒しなんだろ」
先輩の癒し、になんかなれてるんだろうか。
『あれだね、コーハイちゃんすっごい居心地いい』
ほんとに出会った最初、言われた言葉だけど。
わたしがいるだけで先輩が落ち着けるなら、
わたしは先輩のそばにいる意味があると思える。
好きでいるだけじゃ、なにかが足りないはずだから。
相手が、万里先輩だから。