誘惑じょうずな先輩。


「そんなの、先輩を好きになった時点でわかりきってることじゃん」


「ううっ……、夏川くん冷たい」



「いや、ごめん。焦れったくてつい」


「……?」



でも、夏川くんの言う通り。

なにもまちがっちゃいない。



わたしが先輩を好きになったってことは。


たぶん、イバラの道を進むことを決意したってこと。


他人は大袈裟だって思うかもしれないけど、
わたしはこれまでの人生、恋ひとつしてこなかったわけで。


初恋の相手が、元プレイボーイだなんて……、
いろんな意味で難易度が高いのだ。



夏川くんみたいな人からしたら、うじうじしていて見ていてむず痒いっていうのも、本人だけどわかる気がする。



応援してくれてるってことは痛いほどわかるんだけど……、いざという勇気が出ないんだ。




< 152 / 303 >

この作品をシェア

pagetop