誘惑じょうずな先輩。



【 夏川side 】



.


「あ、バンリ先輩」




昼休み。


なにをするでもなくフラフラ廊下を歩いていたら、噂のバンリ先輩を発見。


男の俺から見ても、超かっこいい。


色気だだ漏れ。

アンニュイな瞳が特徴的。


女が寄ってくんの、よくわかるかも。




思わず声を出すと、先輩もちらりと向いて、
「ナツカワくん、」と呟いた。



バンリ先輩としっかり喋ったのは、あのとき。


香田さんとバンリ先輩が一向にくっつかねえし、なんだか世話を焼きたくなって、
先輩が来るのをわかって香田さんにキスしようとした、あのとき。



そのときの先輩の辛そうな顔といったら。




見てるこっちが焦れったい。




そんなわけで俺のことをあまりよく思ってないのは知っている。


いまだって、先輩、俺見てちょっと顔しかめてる。







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