誘惑じょうずな先輩。
なれてる先輩
.
「ねーえ、ゆんちゃん。
なんでそんなに距離とってんの?」
「……っ、なんでまた来たんですか、」
万里先輩と初めて会った日から、3日。
昼休みはあたりまえになんにも起こることなく、保健室で平穏な日々を送っていたのだけれど……。
今日になって、また。
窓から「よっこいしょー」って、
そんな声とともに先輩が平然とやって来たのだ。
今日も今日とて鼻をくすぐるのは、風にのって甘い匂い。
男の人じゃない、煌びやかな女の人の匂い。
さっきまで “ソウイウ事” をしていたのは聞かなくてもわかることで……、複雑な気持ちに苛まれてしまった。
「なんでって、前、またくるねって言ったから、かなあ」
「ほ、本気だったんですかっ」
「えー、ゆんちゃん失礼かよー」