誘惑じょうずな先輩。
「えー……、なんだろ、」
言葉に詰まった男の子に、仕方なさそうなため息がどこからともなく漏れる。
思いつきで言ったみたいだけど……、採用されなくてちょっと可哀想。
わたし自身、もしメイド喫茶になったとしてもメイド服なんて似合わないし柄じゃないから裏方のつもりだったけど。
「ほかはー?」
メイド喫茶の案は破棄されたらしく、ほかの意見を求めるマリちゃんの声が教師に響く。
学園祭のこととなるとみんな積極的で。
たくさんの伸ばされた手のひとつを、またマリちゃんが当てる。
「喫茶店はお金も労力もかかるからさー。
好きな衣装きて、お客さんと写真撮るコスプレ写真館とかどう?」
……コスプレ写真館!!
発案したのは、いつも賑やかでとっても美人な三木さん。