誘惑じょうずな先輩。
「香田さんは……、ふわっふわの天使服とかどう?」
「……ぜ、ぜったいからかってるでしょ!」
「うん、だっておもしれーじゃん」
まだケラケラ笑ってる。
こんな夏川くんは珍しいから、ちょっと新鮮な気分。
でも言われた言葉はあまり嬉しくないし、
褒められてない。
天使服とか……、なにがなんでも着ない。
メイド服よりイヤだ。
わたし、……そういうタイプじゃないし。
「でも、そんなん着たら、香田さんいろんな男に狙われそうだね。
それはダメだわ」
「ねら……?」
「バンリ先輩がかわいそーだし」
「え、なんで、万里先輩?」
「香田さんはたぶん、一生わかんねえよ」
ひどい。
わかりやすく言ってくれてもいいのに。
前よりもよく話すようになって、こんなふうにわたしの性格をわかってる言動が増えるようになった。
仲良くなった証拠なのかな、って思ってちょっと嬉しかったりする。