誘惑じょうずな先輩。
「夏川もいいと思うけどな、わたしは」
「あはは……」
胡子ちゃんにも、万里先輩はプレイボーイというイメージが根付いているから、そこを否定するつもりはまったくない。
わたしだって、夏川くんのほうがまともな人だと感じる、だけど。
だけど、万里先輩には計り知れないとんでもない魅力を持ち合わせていて。
それに、先輩の誘惑に、まんまと負けたのはこのわたし。
わたしは、先輩がいちばん素敵な人だと思うもん。
「胡子〜〜、ちょっとこっち手伝って!」
ふたりでコソコソ恋の話に花を咲かせていたら、胡子ちゃんはマリちゃんに呼ばれた。
なにやら衣装関係でトラブルがあったらしく、衣装やメイクに詳しい胡子ちゃんに声をかけたらしい。
「あ、ごめんね、ゆん!
ちょっと行ってくるわ」
「うん、がんばって」
胡子ちゃんがあちらに行ってしまって、
手持ち無沙汰になったわたし。