誘惑じょうずな先輩。
なんとなく、廊下に出て、散歩してみる。
先輩のクラスの出し物は、クレープ屋さんらしい。
先輩とスイーツってマッチしすぎて、ちょっと笑っちゃった。
だからといって、前日に先輩のクラスをのぞく勇気はなく……、自分の学年の廊下をふらふら歩くので許してもらいたい。
なんだか寂しくなって、早くも教室に戻ろうと思ったとき、「あれ、万里の」と声が聞こえてきて、振り向いた。
「あ、……」
そこにいたのは、けっこう前に万里先輩と歩いていたお友だち。
『この子も、万里の遊び相手?』
ド直球にそんなことを聞いていた、あの先輩。
あまりいいイメージはないため、少しだけ身構える。
けれど、万里先輩のお友だちさんは笑いながら「なんもしないよ」って言ってくれたから、ほっとして視線を合わせた。