誘惑じょうずな先輩。


「ナース?それ」


わたしの衣装を見て、そう聞いてきたお友だちさん。


コクっと頷くと「えー、可愛い」と普通に口にするから目をむいた。


なんだか……、万里先輩のまわりはストレートな人が多い気がする。


わたしの心臓、何個あっても足りない。



「万里とさ、最近話してんの?」



ここで変化球。


急に万里先輩の話題を出してくるから、戸惑ったけれど、聞かれるだろうと思っていたから、すぐに答えた。



「先輩が……、まだだめって、」


「あー……、なるほど」



なにやら知ってるような、ぜんぶわかってるような空気に、不思議に思う。



「えっと……、なにか知ってるん、ですか」


「え?
いや〜、うん、……まあ、ね」



「……不自然ですね」


「あはは、気にしないで」



めちゃめちゃ気になりますけど。


お友だちさんは、このことにはあまり触れてほしくないらしく、仕方なくこっちから引き下がった。




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