誘惑じょうずな先輩。


「いつもは自分の遊び相手が岳に釣られてもどうでもよさそうだったのに……、

きみはどうやら、ちがうみたいだね」



「……、」



「万里、ほんとはあいつ、本当の恋とか愛とか触れたことないんだよ」


「……っ、」



「だから、教えてやってよ。

万里を変えてくれた “ゆんちゃん” 」




その呼び方じゃ、まるで万里先輩がここにいるみたい。


けど、ここにいるのは先輩のお友だちで、
会いたい人じゃない。


お友だちさんは、先輩のことが、大切なんだと思う。


こんなにも理解して、わたしに教えてくれて、先輩のことをだれよりもわかってるお友だちさん。


こんな人が近くにいて……、
幸せ者だね、万里先輩。




わたしが、先輩を変えられるのなら。

そんな力があるのなら。



先輩を、笑顔にできる源となりたい。



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