誘惑じょうずな先輩。
でも、さすがの巡くんでも告白となれば緊張するようで、少し沈黙したあと……、意中の相手の名前を呼んだ。
「……2年C組の山中マリさん!」
なんと、なんと。
巡くんの好きな子は、マリちゃんだったらしい。
どやどや騒がしいなか、近くにいるびっくりしているマリちゃんを発見。
「マリちゃん……、呼ばれた、よ」
「う、うん、呼ばれた、ね」
告白される側も緊張するようで。
マリちゃんは目をパチパチさせて舞台へあがった。
彼女が巡くんのまえにやってきて、巡くんは決心したようにマイクを置いた。
「マリ!
俺……、マリの一生懸命なところとか、落ち着いてるところとか……ぜんぶ好き!」
おお〜〜!という声が講堂に響く。
巡くんはいつもおちゃらけているけれど……、こんなに懸命に想いを伝えてくれたらきっと、すごく嬉しい。
「よかったら……、俺と付き合ってください!」
すごい勢いで顔を下げた巡くん。
巡くん……、誠心誠意の気持ちは伝わった。
あとは……、マリちゃんの返事だけ。
講堂にいる全校生徒が、固唾を呑んで見守る。