誘惑じょうずな先輩。
え、俺ってそんなふうに見られてんだ。
別に、香田さんは好きだけど。
それは、友だちとして。
からかったら面白いし、なにより放っておけねえから。
けれど、たぶんいま、やっとバンリ先輩と結ばれてるんだと思う。
……ほら、いま尋常じゃない女子の悲鳴が聞こえた。
バンリ先輩、なんかやらかしてんなーってのんきに考える。
「それに恋愛感情はないって感じ」
「ふーん、そうなんだ」
あっさり納得する宮川さんは、サバサバしている。
話してて、とにかく楽。
「わたしも新しい恋、見つけなきゃな〜……」
グーンと伸びをして言う宮川さん。
案外、諦めがはやいタイプなのかと思ったけど、そういうわけではないらしい。
ちょっといま、物憂げな顔をした。