誘惑じょうずな先輩。
ちゅ、と唇を重ねる。
わたしの反応を伺うように、そっと落とす。
さっき食べたクレープのせいか、極甘。
呼吸が、……酸素が、足りない。
「せ、んぱ……っ、」
「……ん、なーに、」
聞きたいこと、あるのに。
それさえも許してくれない、甘いキス。
溺れそうで、自分を見失いそうで。
そのなかで、先輩への想いは一直線輝いている。
「と、まって、ください……っ」
「んー……、ムリかも、」
ほんとに、止まってくれない。
イヤで止めてほしいわけじゃ、ぜんぜん違う。
ただ、曖昧な関係がイヤなの。
でもでも、変に喋らないで、って言われちゃった。
けど、いま確かめなきゃいけないの。
「つきあ、ってるん、ですか……、」
「…………は?」
そう呟いたら、
……あれ、先輩、ピタって動き止まった。
至近距離で凝視されて、
ちょっとだけ、気まづいかも。
「先輩……、わたしと、つきあってくれる、んです、……か」