誘惑じょうずな先輩。


……なに言ってるんだろう。

恥ずかしくて、顔から火が出そう。


確かめたかったこと。

先輩は、わたしを彼女という特別なものにしてくれるのかって。


……気になる、んだもん。



だってわたし、つきあってって、言われてないし。

……明確な、名前が、彼女って名前がほしい。



それって……、わがままかな。



俯いて、なにも言えないでいるわたしに、先輩は頰に手を当てた。



「ゆんちゃん」


「……、」



「ごめん、」


「……っ、」




「ゆんちゃんに、そんなこと言わせてごめん」


「……へ、」



それから、わたしの頭を優しく撫でる。


ちらりと見た先輩は、とっても優しい表情をしていた。





「ゆんちゃん、俺と付き合って」



「……っ、」




「不安になんかさせないから。
俺を、ゆんちゃんの彼氏にして」


「……そ、んなの、」



ズルい、ズルすぎるよ。

嬉しすぎて、涙出そう。




「……うん、なに」






「わたしだって、……わたしも、先輩の彼女、してください……っ」





< 242 / 303 >

この作品をシェア

pagetop