誘惑じょうずな先輩。
それに関して、もう先輩が慣れてるから、とかそういうことは考えないようにしている。
先輩の過去は過去だし、それをわたしがなにか言って変わるわけではないから。
だから……、これからの万里先輩はわたしのものだって、考えるようにした。
「夏川〜、どうしよう。
ゆんがバンリ世界から戻ってこないんだが」
「ほっとけ」
「夏川の優しさどこ行った〜〜!」
どうやら最近、このふたりは仲が良い。
学園祭のときからだと勘づいていて、直接なにかあったの、って聞けばふたりして「なんもなーい」って言ってきて……、謎めいている。
でも、ふたりが仲が良いのはわたしも嬉しいことだから、教えてくれなくてもいいかなって思ってる。
とりあえず、わたしはいま、先輩に連絡しようか迷ってる最中なのだ。
そんな勇気はないけれど…、
気持ちだけ。
「もう、そんなものばっかり見つめてないで会いに行けば?
ゆんが『先輩会いたい』って言ったら、きっとバンリ先輩飛んでくるよ」