誘惑じょうずな先輩。


「香田先輩は自覚ないのかもしれないですけど。
実はうちの学年で、けっこう先輩狙い多いですよ?」


「ええ?」



「前も人気ありましたけど……、早矢くんの告白で、よけいに香田先輩の可愛さ知れ渡ってファン増えましたもん」



俺もそのひとりですけど、って日向くん。


割と真剣に言ってくれてるけれど、そんなことはないと思う。

もしあったとしても、万里先輩の告白がきっかけで好いてくれてるなんて……、ちょっとおかしな話だ。


でも、嫌われるよりはぜんぜん嬉しい。



お世辞だとしても、気持ちだけ受け取っておこうと思う。




「先輩……、鈍感ですね、」


「へ? な、なにが?」



「ぜんぶですよ、ほんと」



「……?」



今日は、呆れられることが多い日だ。


さっきの胡々ちゃんや夏川くんといい、日向くんといい。




わたし……、知らない間にいろいろ人を困らせてしまってるのかもしれない。





< 250 / 303 >

この作品をシェア

pagetop