誘惑じょうずな先輩。


よくわからないから、曖昧に首を縦に振って誤魔化した。



それを見た日向くんは、なにが面白いのかクスッと笑ってから、扉の方へ歩み寄った。




「……でも、早矢くんが幸せそうで良かった」


「……え、」



「あ、いえ。
あの人、一応元遊び人なんで気をつけてくださいね」



「う、……うん」



……いま、わかった。

きっと日向くんは、万里先輩が心配だったんだ。



……先輩、ほんとにいろんな人に愛されてるね。



日向くんは歳下だけど、わたしよりも周りを見ていて、且つ大人っぽい。


きっと、ステキな女の子が日向くんを見つけるんだろうな。






「あんまりいると早矢くんに怒られるから、お暇します。
では」


「あ……っ、もう?」




もっと、話していってもいいのに。


そう思って言ったのに、日向くんはちょっと困った顔をして……、呟いた。







< 251 / 303 >

この作品をシェア

pagetop