誘惑じょうずな先輩。


「先輩、」


「……ちょ、まって、」



「なん、ですか」


「破壊力……死ぬ、」



「……へ、」


「ゆんちゃん……、誘惑、じょうずじゃん」




……褒め、られた?


よくわからなくて首を傾げるけど、どうやら先輩の余裕はなくなってきている様子。


耳はさっきより赤いし、口元を手で覆って髪の毛わしゃわしゃしてる。




「こんなに可愛いの、………俺、耐えらんない」




「……、っん、」




とたんに唇を塞がれた。


離さない、離してやらないとでも言うように。



先輩のくせに、ゆるい先輩のくせに、荒いキス。



ふたりだけの世界。

もう、先輩しか見えない。




昼休み、学校でなにしてるの、とか。

もし、だれか入ってきたらどうするの、とか。


そういうの、いまはぜんぶどうでもいい。





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