誘惑じょうずな先輩。


見えない疑問や、焦りより。

目の前にある先輩が、いちばんだ。



すれ違ったぶん、もっと大きな愛に包まれていたい。



先輩が、言葉で伝えきれないほど……だいすきだから。




「___ 甘、」




甘いのは先輩だ。


堕とすのも、ぜんぶ。




誘惑がだれよりもうまいのも。





わたしを……、好きにさせるのも。




酸素が足りなくて、苦しい。


幸せだけど、さすがにちょっとキツイかも。




覆いかぶさってくる先輩をトントン、って叩いたら、案外あっさり退いてくれた。




「……しんど、」



それに、天井を仰いで、そんなことを呟く。


なにがしんどいんだろう、って聞くまでもなく、ネタばらしをしてくれる。




「……ゆんちゃんが好きすぎて、しんどい、」




……っ。


小さい声、だけどばっちり聞こえてるよ。



不意打ち、禁止だから。


< 262 / 303 >

この作品をシェア

pagetop