誘惑じょうずな先輩。
見えない疑問や、焦りより。
目の前にある先輩が、いちばんだ。
すれ違ったぶん、もっと大きな愛に包まれていたい。
先輩が、言葉で伝えきれないほど……だいすきだから。
「___ 甘、」
甘いのは先輩だ。
堕とすのも、ぜんぶ。
誘惑がだれよりもうまいのも。
わたしを……、好きにさせるのも。
酸素が足りなくて、苦しい。
幸せだけど、さすがにちょっとキツイかも。
覆いかぶさってくる先輩をトントン、って叩いたら、案外あっさり退いてくれた。
「……しんど、」
それに、天井を仰いで、そんなことを呟く。
なにがしんどいんだろう、って聞くまでもなく、ネタばらしをしてくれる。
「……ゆんちゃんが好きすぎて、しんどい、」
……っ。
小さい声、だけどばっちり聞こえてるよ。
不意打ち、禁止だから。