誘惑じょうずな先輩。
おなじ教室で授業は受けられない。
先輩と、近くで行事を楽しむことも、難しい。
……だけど。
「……でも、わたしのいちばんは、先輩だし、先輩も、そうであって、ほしいです」
できないことに悩むんじゃなくて。
確かなことを認めてあげたい。
恋を知らなかったわたしが、先輩のおかげでそう思えるようになった。
わたしの言葉に、先輩はやっとふにゃって、わたしの好きな笑みを見せてくれた。
「そういうとこ、本気で好き」
ちゅ、とまた触れるだけのキスを落として、わたしの頭を撫でる。
けっこう前から思っていたけれど、たぶん先輩、わたしの頭を撫でるの癖だ。
気持ちいいし、先輩ならなんでも嬉しいから、自分だけ気づいてることということで、言わないでおく。
「ゆんちゃんは、……俺の、」