誘惑じょうずな先輩。
……ってなわけで、朝から机に突っ伏して死んでる俺に、矢倉が業を煮やして声をかけてきたのだ。
「まじで好きじゃん」
矢倉、笑ってるし。
「…………好きじゃ足んないわ、」
こんなに会いたいとか、俺大丈夫そ。
自分でも呆れそうなんだけど。
ゆんちゃんの存在、おっきすぎ。
いつも癒されてるから、なんか今日は物足りない気分。
「ならさ、会いにいけば?」
矢倉は、簡単に言う。
そんなん、会えたらいますぐ飛んでくわ。
「はあ、?」
顔をしかめた俺に、矢倉はきょとんとして提案してくる。
「彼女の友だちに聞けば、家くらいわかるだろ」
「……」
「俺の仲良い後輩、呼び出すからそいつに連れて来てもらうわ、友だち」
「は、ちょ、」
まって、展開早すぎる。
「夏川誉ってやつ、知らね?」
「……めっちゃ知ってるんですけど」