誘惑じょうずな先輩。
……まあ、いっか。
たまには俺も、翻弄されても。
プチっていちばん上のボタンを俺が外してあげたら、満足そうにふわって笑った。
ズズッと鼻を啜って、ゲホゲホって咳して。
そんな苦しそうな姿みたら、いろんな気持ち、ぜんぶ消えるって話。
「ゆんちゃん。
ほら、明日学校で会いたいから、もう寝な」
「……うん」
素直にコクっと頷いて、布団にくるまるゆんちゃん。
そんな無防備な姿が新鮮で……、ずっと見てたいって思える。
「万里先輩、……おやすみなさい」
ぎゅって最後に手を握ってくるの、ズルい。
これじゃ、次起きるまでずっといないといけないじゃん。
……そんなの、ぜんぜん苦じゃないけどね。
「おやすみ、ゆんちゃん」
__ それから次の日、ゆんちゃんは回復して言った第一声はこれだった。
「万里先輩が来てくれた、から、がんばって治しました、」
愛しすぎて無言で抱きしめたのは、言わずともわかる話。
【 万里SIDE. end 】