誘惑じょうずな先輩。
「胡々も最近楽しそうだし……、ちゃんと恋してるみたいで良かった」
「あ……、わたしもそれ、思います」
一度は傷を負った胡々ちゃん。
直接聞いてはないけれど、神田くんなにかがあったのは勘付くものだ。
そのときに胡々ちゃんを支えられる存在でいたかったけれど、その役目はきっと、わたしではなかったと思う。
だからこそ、最近、胡々ちゃんは夏川くんといて輝いているんだと感じるんだ。
「いまにしかできないこと、しときなよ?
若いおふたりさん」
愛先生はそう言うけれど、先生だってじゅうぶん若い。
しかも元遊び人と結ばれて結婚しているのもあってか、先生に失礼かもしれないけど、もはやわたしのお姉ちゃんみたいな存在だ。
相談でもなんでもできる、そんな存在。
「じゃあ、先生。
ゆんちゃん借りてもいい?」
わたしの制服のブラウスをちょいちょいと引っぱりながら、先輩はゆるく言う。