誘惑じょうずな先輩。


「ゆんちゃんって、俺のツボなんだよね」




むにっとわたしの頰をつねって、そう言う先輩。

きっといまのわたし、とんでもなくマヌケな顔してる。


なんだかムードが台無しで、……ちょっと笑ってしまった。




「ツボ……、ですか」



「そう、なんか……目が離せないんだわ」



「……う、ん?」




よくわからないけど、いい意味なんだと勝手に予測する。


だって、先輩の口角、あがってるもん。




「あんま、無防備だとだめだよ」




わたしの頰から手を離して、真面目にそう諭す。


なんだか先輩らしくて、そういうところもすきで、……ゆっくり首を縦に動かした。




「先輩だって、ほかの女の子に誘惑されちゃ、だめですから、」



「……んーん、されないよ。
俺の眼中にはかわいい彼女しか映ってないからね」



「……んもう、」



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