誘惑じょうずな先輩。
本気で思ってるのかなんて、自分でもわかんない言葉。
でも、先輩に直接言えないから、やっぱり本当には思ってないんだと思う。
複雑、すぎる。
だから、忘れてはいけない。
先輩は、ふつうの男の人ではないって。
女の子何人も相手にしてきた恋愛マスターの遊び人だって。
わたしひとりが先輩に夢中になったって、先輩にとってはその他大勢のひとりなんだから。
勘違いなんて、絶対しない。
「うん、じゃあ、ここで俺以外の男と話さないでね、とか言っとく」
クス、と謎の言葉と笑みを残し、先輩はまた、窓から去っていった。
窓へ駆け寄り、下をみると、彼はすぐに女の子に囲まれていて。
「……ふ、く、ざ、つ」