誘惑じょうずな先輩。
「ゆんちゃんは、男を煽って、わるい子だね」
「……、」
「ほかの男に、こんな気持ちにさせないでね、お願い」
「……勝手、です」
「うん、でもちょっと耐えらんないかも」
「……?」
「俺だけ、ね」
そうやって、甘さで誤魔化して。
首を縦に振ることしか許されない、その言い方、あやし方。
単純なわたしは、先輩に特別扱いされて、胸がしんどくなって、顔が熱い。
「……ミントひとつで、聞いてあげます」
素直じゃなくてもいい。
先輩のお願いなんて、聞きたくて聞いてるんじゃないんだから。
仕方なく、なんだからね。
そこ、ちゃんとわかっててよ先輩。
突然のアイスの要求に、先輩はちょっと驚いた顔をしていたけど、すぐににこっとして頷いた。