誘惑じょうずな先輩。
なんだか心では嫌味みたいになっちゃったけど、先輩にはわたしの心の声は聞こえてないわけだから、表情は変わらない。
というか……、変わらなすぎて、怖いかも。
伺うようにして先輩の顔をそっと覗きみると、妖しい色に輝く瞳にゾクッとした。
「夏川くんとやらには、その無防備な姿、見せちゃだめだよ?」
「む、ぼうび……?」
「そー。
俺以外がゆんちゃんによくじょーとか、
考えただけでムリだから」
……わ、がままだよ、先輩。
わたしだって、先輩がほかの女の子に甘い言葉吐いてるなんて考えたくもないよ。
でも、先輩の迷惑にはなりたくないから、言えないんだもん。
……一途なひとがタイプ、ってそういう理由。