誘惑じょうずな先輩。


彼って……、さっき話してくれたプレイボーイの?


ぱちぱちと瞬きをするわたしに、愛先生は優しく……幸せそうに言った。



「なにも、恋なんて辛いことばかりじゃないのよ」



「先生すてき〜〜!」




愛先生の言葉が、じんわりと沁みた。


万里先輩だけは、ぜったいに好きになるまいと思っていたけど……、そうじゃないんだって。



愛先生は、辛さや苦しさを乗りこえて、自分の手で幸せを掴みとったんだ。



なんだかわたしも幸な気持ちでいっぱいになって、胡子ちゃんといっしょに先生の馴れ初めを聞こうとした……、んだけど。



ガラッと開いた保健室の扉。

こんなときに入ってくるのなんてひとりしかいない。



やっぱり……、心地いい低音ボイスが耳をくすぐった。



「__ あれ、女子トーク?」





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