誘惑じょうずな先輩。
特に胡子ちゃんはなにが嬉しいのかバシバシわたしの背中を叩いてきて……痛い痛い!!
「先輩……、さいきんよく、来ますね」
恥ずかしさもあって、またぶっきらぼうな言葉しか出てこない自分に悲しくなるけど。
そんなわたしに慣れた先輩はいつもどおり、ゆるく口を開く。
「なんかー……、
ゆんちゃんに会いたくなるから」
__ 誘惑じょうず。
きっと、誰よりも。
会いたいのは、わたしもいっしょ。
けど、わたしはそんなこと言えない。
わたしがその言葉は言いたくないの、
……言えないの。
先輩が、遊び人だからだよ。
わたしがそんな言葉、言ったら先輩、離れていっちゃうでしょ。
だから、ガマンなの。
ドキドキは、わたしだけ。