幼馴染からの抜け出し方
それほど大きくないピクニック用のシートに座っているので、長身の由貴ちゃんが入ってくると少し狭く感じてしまう。
「昨日帰ってきたんだ。お土産を渡しに実家に来たんだけど、ついでにめぐにもお土産渡そうと思って。めぐの実家に寄ったら、おばさんがめぐは広場のマルシェにいるって言うから、俺もここへ来てみたんだけど」
由貴ちゃんはズボンのポケットから小さな紙袋を取り出した。
「はい、めぐにお土産」
「ありがとう」
それを受け取って中身を確認すると、木でできた小さな靴のキーホルダーが出てきた。
「もしかしてオランダ行ってた?」
「そう。当たり」
お土産を見て出張の行き先を当てることができた。オランダといえば木靴が有名だから。
「めぐ、こういうの好きだよね」
赤色の木靴にはカラフルな花が描かれている。こんな小さな靴にとても丁寧に手書きで。その細かで繊細な作業に思わず見とれてしまう。さすが由貴ちゃんだ。私の好きなものをよく知っている。
「ありがとう由貴ちゃん。大切にするね」
さっそく貰った木靴のキーホルダーをバッグにつけていると、そういえば、と由貴ちゃんが思い出したように口を開いた。