幼馴染からの抜け出し方

「めぐ、お昼食べた?」

「ううん。これから食べようと思ってた。由貴ちゃんは?」

「俺はここへ来る前に実家に寄ったから食べてきた」

「そっか。じゃあさ、由貴ちゃん」


 私はとてもいい案を思いついた。


「少しだけここで店番していてくれないかな。その間に近くの屋台でお昼食べてきてもいい?」

「いいよ。食べておいで」

「ありがとう」


 行ってくるね、とバッグを手に取り立ち上がると、由貴ちゃんに手を振って私は出展スペースをいったん離れた。

 屋台にはたくさんの食べ物が並んでいる。焼きそばやたこ焼き、お好み焼き、フライドポテト、たい焼きなどなど。どれにしようか迷ったけれど焼きそばにした。
 
 イートインスペースでそれを素早く食べてから、店番をしてくれている由貴ちゃんへのお土産でたい焼きを買った。熱々のそれを両手でふたつ持ちながら自分の出展スペースへ戻ると、思わず目を疑ってしまう。


「お待たせ由貴ちゃん。店番ありがと……って、え? なんで?」


 私の作品が半分以上もなくなっていたのだ。お昼を食べに行く前までは選びたい放題でまだたくさん並んでいたはずなのに。今はほんの少しだけしか残っていない。

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