幼馴染からの抜け出し方
「これって合コンだよね」
「ううん。男女が交流をする食事会」
「つまり合コンだよね」
「……はい」
ようやくゆかりが認めたところで私は盛大にため息を吐いた。
「合コンなら合コンだってなんでハッキリと言ってくれなかったのよ」
「だって行ったら来ないでしょ、めぐみは」
「まぁ、そうだけど」
合コン嫌いだし。たしかにはっきりと言われたら来なかった。そうだよ、本当なら来なかったのに騙されて来てしまった。
「帰る」
「ダメ! 待って、帰らないで」
足早にここから去ろうとすると、その後をゆかりが慌てたように追いかけてきた。そして、私の腕を掴むと、逃がさないと言わんばかりに両腕をからめてきたので、仕方なく私はその場に立ち止まる。
「めぐみも今はフリーなんだし、ちょっと合コンに参加するぐらいいいじゃん」
「やだ。帰る」
「そんなこと言わないでさ」
ゆかりにずるずると引きずられるようにして、私は合コン会場の個室のすぐ前まで連れ戻されてしまった。
「たまにはいいじゃん合コンも。気分転換だと思えば」
そう言ってにっこりと笑うゆかりに反論しようと開いた口を大人しく閉じた。こうなったゆかりはもう止められないから、きっとなにを言ってもムダな気がする。
ハァ……、と心の中で深いため息をつき私は諦めることにした。