幼馴染からの抜け出し方

「めぐみ、どうだった?」


 ゆかりに合コンの感想を求められたので、正直に答える。


「うん。料理も美味しかったし、まぁ楽しかったかな」

「男性陣もなかなかよかったでしょ。 話上手でかっこいいし」

「うん、そうだね。でも……」

「由貴ちゃん以上の人はいないかな、でしょ?」

「え」


 心の中で思っていたことをゆかりに告げられて思わず驚く。どうしてわかったのだろう。ゆかりがニヤッと笑った。


「めぐみの口ぐせ。どんなイケメン俳優もイケメンアイドルも、職場の優しい同僚も仕事のできる上司も、誰も由貴ちゃんには敵わない。由貴ちゃんと比べると霞んじゃう。めぐみ、いつもそう言ってるよね」


 うん。そうだ。たしかにそう言っている。

 由貴ちゃん以上に素敵な男性を私は知らないし、きっといないと思っている。今までの彼氏たちも最初は素敵だと思ってお付き合いを始めるけれど、ふとした瞬間に由貴ちゃんと比べてしまうことがあった。


 由貴ちゃんのほうがいいな。

 由貴ちゃんと一緒にいるほうが楽しい。

 由貴ちゃんのそばにいたほうが落ち着く。

 由貴ちゃんはそんなこと言ったりしない。

 由貴ちゃんならわかってくれるのに。

 由貴ちゃんといる自分が一番自分らしくいられる。

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