またいつか君と、笑顔で会える日まで。
一橋リリカside
人の家の玄関の呼び鈴を人差し指で押す瞬間があたしは大好きだった。
暖かくて明るい笑顔の溢れる家の中に足を踏み入れた瞬間、自分もその世界の住人になれたような気分になるから。
幸せをちょっぴり頂いて帰れるから。
「あーきーちゃん!」
呼び鈴を鳴らしてからしばらく扉は開かなかった。
扉の前で友達の名前を呼ぶ。
それでも出てこない。家の中では人の気配と押し殺したような話し声が聞こえるというのに。
不思議に思ってもう一度呼び鈴を鳴らそうとした時、ほんの少しだけ扉が開いた。
ちょっぴり顔を出したあきちゃんの目にたじろぐ。
ああ、またか。またなのか。
「あきちゃ――」
「リリカちゃんとは遊ぶなってお母さんに言われたの。だから、帰って」
言葉を遮るように目の前で扉は閉められた。
もう二度と来るなと言わんばかりにものすごい勢いで閉められた扉は彼女との友情が断たれたことを意味していた。
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