またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「り、リリカちゃん……?」

コンコンッと扉をノックしながらリリカちゃんの名前を呼ぶ。

留守なんだろうか。家の中に人のいる気配が感じられない。

もう一度チャイムを鳴らそうとベルに指を伸ばした時、突然物音がした。

慌てて音のする方に視線を向けると、隣の家の住人がうかがうような目でこちらを見つめていた。

「あっ、こんにちは」

「こんにちは」

扉を半分ほど開けてこちらを見つめるおばさんにぺこりと頭を下げる。

「お隣に何か用かしら?」

「はい。私、この家に住んでる子の友達です。でも、今留守みたいで……」

「いつもだよ」

「へ?」

「友達なのに、知らないの?」

「あの、どういう意味でしょうか……?」

おばさんの言葉に首を傾げると、おばさんはあたりをキョロキョロと見渡すと玄関から出てこちらへ歩み寄ってきた。

60代半ばぐらいのおばさんはチラチラとリリカちゃんの家を気にしながら話し始めた。

「リリカちゃんに会いに来たんでしょ?」

「そうです」

「可哀想な子だね。あの子は」

おばさんは奥歯を噛みしめ考え込むようにうつむいた。

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