またいつか君と、笑顔で会える日まで。
ふと隣家の斎藤さんの顔が思い浮かんだ。おばさんも私のことを気にかけてくれていた一人だ。
「私に、できることはありますか?してあげられることってありませんか!?」
そう聞かずにはいられなかった。想像もしていなかった話を聞き、正直頭の中が混乱していた。
どうにかしたいという気持ちはある。でも、私がすべきことが分からない。
「どうしたら……。私は何をしてあげたらいいんでしょうか……!?私、知らなくて。リリカちゃんがそんな状況だって。いつも私ばっかり助けてもらってて……だから、今度は私が!!」
おばさんだって困るに違いない。すがるように尋ねるとおばさんは温かい目を私に向けた。
「そうねぇ、難しいわ。だって私だってあの子になにもしてあげられないんだもの。だけど、一つできることがあるとしたら寄り添ってあげる事かしら」
興奮気味の私の背中を優しく撫でるおばさん。
「寄り添う……?」
「想いを伝えるのは言葉だけじゃないでしょ。ただ、黙って寄り添ってあげるだけでも救われるはずよ。あの子はずっとひとりぼっちだった。いつも孤独を感じていたはず。だから、そばにいてあげて。ただ、隣にいてあげるだけであの子はきっと救われる」
「ただ、隣にいる……」
そうだ。私も同じことをしてもらった。満天の星の下、リリカちゃんは黙って私に寄り添ってくれた。
「人間ってものは不思議よね。生まれる時はひとりなのに、この世に生を受けた途端一人でいられなくなる。誰かの特別になりたいし、誰かに必要とされたいと願ってしまう」
「っ……」
「リリカちゃんがね、言ってたのよ。『おばさん、私はね、誰かの特別になることなんて一生ないんだよ』って。そんな悲しいことを笑顔で言うの」
「そんなことを……」
「でも、あの子にちゃんと友達がいたって知って私は心底嬉しいのよ。今だってこんなに心配してくれて。リリカちゃんはあんなこと言ってたけど、それは思い違いだったのね。あの子のこと、よろしくね」
「はい」
部屋に戻っていったおばさんの背中を目で追う。