またいつか君と、笑顔で会える日まで。
やっぱり何もかもがあたしの邪魔をする。

いや、違うか。むしろ邪魔なのはあたしの存在なのかもしれない。

あたしがいて困る人はいても、あたしがいなくて困る人はいないんじゃないか。

この広い世界の中であたしが消えても、気付いてくれる人はいないんじゃないだろうか。

必要がなかった人間がこの世に生を受け生まれてしまったことが全ての間違いだったのかもしれない。

『アンタなんて産まなきゃよかった』

母の冷たい声が蘇る。

「ふざけんなよ……」

あたしだって生まれたくて生まれてきたんじゃないよ。

お母さんが勝手に産んだんじゃない。

それなのに、産まなきゃよかったなんて言うな。あたしがいつそんなことを頼んだっていうのよ。

そんな酷いこと娘の前で言う必要なんてないじゃない。

なんなのよ。マジで何なの。ふざけんなよ。マジで……――。

「ふざけんなよ！！！」

銀行の前で絶叫するあたしに冷たい視線が投げかけられる。

もういやだ。もうすべて、何もかもが嫌だ。

あたしは駆け出した。雨に濡れながら当てもなく走る。

< 128 / 183 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop