またいつか君と、笑顔で会える日まで。
学校が好きだった。バイトも好きだった。

朝起きていく場所があることが。学校が終わってから行く場所があることが嬉しかった。

でも、バイトが終わってから家に帰ることが苦痛だった。

家にあたしの居場所はないし、帰ってきても喜ばれることはない。

むしろなぜいるんだという目で見られて針の筵だ。

今日はどこへ行こうか。

あたしみたいに帰る家がない子はいったいどこで寝泊まりしているんだろう。

男の子の家?あたしには無理。母が男に媚びて生きているのを目の当たりにしたせいで、男という生き物を生理的に受け付けない。

友達の家に行くこともはばかられる。

それに、気軽に『泊めて』と頼める友達もいない。

もしいたとしても頼めない。だって、そんなの常識に反してる。

こういうとき、あれこれ考えずに『泊めてよ』とか気軽に頼めればうまく生きていけるのかもしれない。

自分のことだけしか考えずに自己中になって、周りに大勢の敵を作っても飄々とした顔で悪びれもなく生きていける母のような人間になればそこそこうまくやっていけるのかもしれない。

でも、あたしはそんなの死んでも嫌だ。

親の背中をみて育ったと思われたくない。

蛙の子は蛙なんて言わせない。そのために必死に勉強もした。

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