またいつか君と、笑顔で会える日まで。
もういいんじゃない?と誰かがそっとあたしの耳元で囁いた気がする。

もう頑張るのはやめたら?もうこれ以上辛い想いはしたくないでしょ……?

ギュッと制服のスカートを握り締めた時、ポケットの中の大切な物に指が触れた。

濡れてしまったら困る。あたしの大切なお守り。

ポケットから取り出してバッグの奥底にしまい込む。

「――誰か。誰か助けて……――」

涙がでそうになり、慌てて顔を持ち上げる。

ダメだ。こんなことで泣かない。あたしは絶対に泣かないんだ。

「萌奈……」

自然と口から零れ落ちたのは萌奈の名前だった。

目をつぶりぐっと唇を痛いぐらいに噛みしめた時だった。

ピタリと雨が止んだ。ボタボタっという雨を叩く音は聞こえるのに。

そっと目を開ける。

傘だ。目の前の傘に驚き、顔を持ち上げた。

そこにはハァハァと肩で息をする萌奈が立っていた。

「え。なんでいんの?」

驚きと戸惑いでうまく言葉が出てこない。

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