またいつか君と、笑顔で会える日まで。
最近、高橋は毎日イライラしていて手が付けられない。

昼夜問わず飲み歩き、泥酔して悪態をつき、さらに暴力に発展する。

以前は他人から見える場所に暴力を振るうことはなかったのに、最近はお構いなしに手当たり次第にあたしに暴力を加える。

本音を言えばあんな家にもう帰りたくない。

命の危険すら感じるぐらいにエスカレートしている。

でも、帰りたくないなどとワガママは言えない。

「あっ……」

バスルームを出ると制服とYシャツがなかった。

そういえばさっきおばさんが脱衣所に入ってきて何かをしていた。

濡れたままの制服を着てすぐに帰ろうとしていたのにもくろみにが崩れた。

脱衣所にはドライヤーやヘアブラシ、化粧水や乳液などが綺麗にそろえて置かれていた。

ホテルのタオルのようにふかふかなタオルで体についた水滴を拭ってから萌奈の新品の下着をつけ、萌奈のTシャツとハーフパンツを着て脱衣所を出た。

着痩せするタイプなんだろうか。萌奈のブラジャーはあたしには少しだけ大きくて少しパカパカしていた。

Tシャツは柔軟剤の良い匂いがした。

「あのっ」

脱衣所を出てリビングに向かい恐る恐る中にいる萌奈のお母さんに声をかける。

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