またいつか君と、笑顔で会える日まで。
二人で一緒になって泣きながら食べたケーキは今まで食べたどれよりも美味しく感じた。
夕飯は母がシチューやから揚げを作ってくれた。
どれも大好物だとリリカちゃんは心底嬉しそうに食べた。
「本当に泊っていっていいの?」
21時を過ぎて父が帰ってくるとリリカちゃんがソワソワし始めた。
私がお風呂から出て部屋にあがってくると、リリカちゃんは開口一番そう言った。
「お母さんにももう了解は得てるし大丈夫だよ。そんな心配しないで?」
「でもさぁ……」
「いいのいいの。その代り、いろんなお話しよう?」
「話?」
「そう。これからの話。リリカちゃんって夢はある?」
「あたし~?まあ、あるっちゃあるけど」
「そうなの?何?」
私とリリカちゃんはベッドを背にフローリングの床に揃って座った。
「臨床心理士」
「それってなに?」
「簡単にいうと、心の専門家って感じかな。心の問題にアプローチしたりする仕事」
「そんな仕事があるんだ。すごいね」
「まあ、なれるかどうかも分かんないけどね。うちって家庭環境酷くて子供のころからめちゃくちゃ苦労したの。でも、自分の親のことを人に話すことってできないんだよね。聞いてほしいけど、話す人がいないの。そういう子供とか辛い過去を持って大人になっても苦しんでる人とかの力になってあげたくて」
「すごいね。そこまで考えてるなんて」
「そうでもないよ。萌奈は?」
「私は教師になりたい」
「へぇ、意外だね!でも、いいかも!!」
「私もね、中学の時色々あって不登校になったりしたんだけど、その当時の担任の先生が私のことを見捨てないで色々協力してくれたから高校にも入学できたの。中学生って色々と大変な時期だと思うんだ。だから、生徒にちゃんと向かい合って寄り添ってあげられる、そういう先生になりたいの」
「萌奈ならなれるよ。それにさ、そういう先生がいたら子供は救われるよ」
「そうかな?」
「うん。先生になってたくさんの子供と向き合ってあげて。あたしが子供の頃、萌奈が先生だったらよかったなぁ~」
「まだなれるって決まったわけじゃないけどね」
「いやいや、なれるよ!!なってよ!!あたしがいうことは間違いないから!!萌奈は絶対にいい先生になる!!」
リリカちゃんは得意げに鼻を鳴らす。